みなさん、こんにちは。
司法書士・行政書士の松崎充知生(まつさき)です。
土地の相続登記を申請する際、法務局に納める登録免許税がいくらかかるのか気になるところですが、平成30年度の税制改正により、その相続登記について、一定の条件を満たしていれば登録免許税が免税される(登録免許税が0円になる)措置が設けられたのは不動産登記を取り扱う業務の中で既に周知されているものと思います。
詳細はこちら↓
相続登記の登録免許税の免税措置について(法務局ホームページより)
私も相続登記業務を行う際、高確率で下の資料を見ながら申請書類等を作成しています。
特に2番目の、「少額の土地を相続により取得した場合の登録免許税の免税措置」はとにかく使う機会が多いです。
役所から評価証明書を取得し、相続対象土地の評価額が100万円以下の場合なら、
申請書の登録免許税の項目に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により⾮課税」
または「租税特別措置法第84条の2の3第2項により一部⾮課税」と記載をすると
その分の登録免許税は0円です。
この記載が無いと登録免許税は通常通りかかります。
不動産の所有権全体だけでなく、持分(何分の何)を取得する場合でも、不動産全体の評価額からその持分割合を掛けて計算した額が100万円以下の場合も対象になります。
(私道部分、ゴミ置き場、マンション敷地等を他の方と共有しているケースによく使います)
不動産を複数所有している方はこれで金額がだいぶ抑えられますね。
1番目の「相続により土地を取得した個人が登記を受ける前に死亡した場合の登録免許税の免税措置」について、亡A(令和4年死亡) → 亡B(令和5年死亡) → C と順番に登記するところを、亡A → C へショートカットして登記する方法もある為、使う機会は少ないと思われがちですが、意外とこの免税措置も使う機会があります。
これは主に、AとBは夫婦で、その子がCである関係で、A死亡時に、BとCが遺産分割協議や相続登記をしていないうちに、Bが死亡した場合に考えられます。
遺産分割協議をしていない場合は、
法定相続分通り A → BとCが2分の1ずつ取得する相続登記(1件目)をしてから、
B持分(2分の1) → Cに取得する相続登記(2件目)を申請する必要がありますが、
1件目のBが取得する2分の1部分には
申請書の登録免許税の項目に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により一部非課税」
と記載すれば、その分の登録免許税は0円です。
この記載が無いと登録免許税は通常通りかかります。
また、BとCが遺産分割協議をして、(例えば)相続税の配偶者控除を利用するために、
B が亡Aの相続財産を取得することと決めていたが、相続登記をする前にBが死亡した場合、
相続人であるCが申請人となって一旦、 亡A → 亡B の相続登記を申請することになるのですが、この申請書登録免許税の項目に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」
と記載すれば、その分の登録免許税は0円となります。
このように、一度は Bの登記名義を経由するケースも結構あるんですよね。
この1番目の「相続により土地を取得した個人が登記を受ける前に死亡した場合の
登録免許税の免税措置」についてですが、
亡A → 亡B の登記申請と、亡B → C の登記申請をまとめて申請する(連件申請)
ことが必要と思っていたのですが、
それぞれを別の日に申請(単件申請)でも、亡A → 亡B の登記申請分について登録免許税の免税を受けられるようです。
私が経験したケースでは、上記の例(AとBは夫婦で、その子がCである関係)で、
亡Aの相続当時、A所有の土地建物を遺産分割協議で亡Bが取得していたため、
一度、亡A → 亡B へ移転する登記が必要だったのですが、建物が未登記であった為、土地家屋調査士の協力のもと、表題登記をする必要がありました。
相続人に、表題登記に必要な書類をご用意いただいている間、相続登記に必要な書類は揃っていたので、土地について先行して亡A → 亡B への移転分の登記を単件申請したところ、
「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」で 登記が完了しました。
その後、亡A名義で建物の表題登記 → 亡Bで建物保存登記 → 亡B名義になった土地建物を相続人Cに移転して登記は完了です。
租税特別措置法第84条の2の3第1項の免税措置を受ける際、連件申請は必須になっていないようですね。
相続登記の登録免許税の免税措置は、土地のみに限定されており、建物は通常通り、評価額に1000分の4を掛けた額(0.4%)がかかります。
免税措置の適用期限は、令和7年(2025年)3月31日 までの登記申請までとなっています。
令和6年4月1日の相続登記義務化まで1年を切りました。
相続登記が義務化されます(令和6年4月1日制度開始)
~なくそう所有者不明土地!~東京法務局ホームページより
これを機に相続登記をしていない土地建物が円滑に進み、所有者不明土地が少しでも改善されていくと良いですね。
本日はここまでです。最後までお読みいただきましてありがとうございました。
ではまた。(^o^
コメント