買った時の不動産売買契約書が中々見つからない問題

相続

みなさん、こんにちは。

司法書士・行政書士の松崎充知生(まつさき)です。

 

相続手続に入る際、相続人であるご依頼者様と被相続人の書類一式を一通り確認していく機会があります。

主に確認するものは、相続財産の中に不動産がある場合は権利証や固定資産税納税通知書、預金がある場合は預金通帳、株式がある場合は証券会社からの取引報告書、車がある場合は車検証等です。

相続登記をする際、権利証は原則不要ですが、登記簿上の住所が一致せず、他の書類で繋がってこない場合は権利証原本を法務局に提出することで相続登記ができますし、直近年度の固定資産税納税通知書があれば今回かかる登記費用について大まかな計算ができます。

また、預金通帳や証券会社の取引報告書、車検証があるとその内容を根拠書類として遺産分割協議書に記載をすることができます。

被相続人の書類の中でご依頼者様から「中々出てこない」とご相談いただくのが、被相続人が当時買った時の不動産売買契約書建物請負契約書です。

これらは相続登記や遺産分割協議書の作成には利用しない書類ですが、相続人が相続登記をして不動産を売却した後に譲渡所得を支払うことになるかどうかの判断に必要になってきます。

譲渡所得税の詳細や計算式は国税庁HPをご覧下さい。↓↓

土地や建物を売ったとき|国税庁

 

譲渡所得税については、ご依頼者様から多い頻度で質問いただきます。

不動産決済手続の振込み待ち時間中に売主様からご質問いただくこともよくあります。

具体的な税額計算は税理士業務であるため、回答は避けますが、基本的な知識として

買った時の不動産売買契約書(請負契約書)と売った時の売買契約書を比較して、利益が出ていれば譲渡所得税の確定申告が原則必要、損をしていれば譲渡所得税の確定申告は不要になります。

また、売却利益が出ていても自分が居住していた不動産を売却した場合、一定要件を満たしていれば、その売却利益から最大3,000万円を控除できますが、この制度を利用する時は確定申告が必要になります。

譲渡所得税を支払う必要があるのかの判断をする際、売った時の売買契約書は直近の取引である為、相続人の手元に残っていることになりますが、買った時の契約書は被相続人が当時、契約を締結したのでどこにあるか分からないというケースが出てきます。

どうしても当時の不動産売買契約書や建物請負契約書が見つからない場合は、「売却した金額の5%」を買った時の金額として計算することになりますが、この場合は譲渡所得税が高額になり、確定申告は必須となってきます。

そうなると、相続人としては確定申告期限である3月15日まで被相続人の当時の売買契約書等を何としてでも探していくことになるでしょう。

残された相続人の為に保管しておくものとして、不動産の権利証、預金通帳、保険証書等が挙げられますが、相続人が譲渡所得税の心配をすることが無いよう、買った時の不動産売買契約書建物請負契約書も一緒に保管しておくべきでしょう。

 

司法書士は、通常、不動産決済の時に買主様に対して権利証(登記識別情報)の説明をしますが、私はそこで売買契約書と権利証を一緒に保管しておくように勧めています。

これは買主様の売買契約書と権利証を受け取る時期が異なるからです。

売買契約書は、売主様との契約締結時に不動産会社が書類一式を入れる分厚いファイルを交付してくれるのでその中に保管されます。

権利証は鍵の引渡しを終えて、新居に引っ越してきたタイミングで受け取ることになりますから、それぞれの保管場所が別々になることが考えられます。

権利証は大切な書類ではありますが、引越しの時期と被る為、忘れていた頃に届いたと感じる方もいらっしゃるでしょう。

今後の手続のためにも書類の保管場所には十分気をつけておきたいところですね。

 

今回はここまでです。最後までお読みいただきましてありがとうございました。

それではまた。

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プロフィール
ブログ管理者
まつさき

埼玉県を拠点とする司法書士・行政書士・宅地建物取引士
鹿児島県出身。9年間、不動産売買仲介の営業職に従事。
契約実績累計400件超を経験し、マンション業界への社外出向を経て、士業へ転身。元競技ダンサー。
休日はアウトドアや観光スポットへよく行きます。
主に不動産売買、相続手続、会社に関する法律情報を発信していきます。

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司法書士まつさきの登記レポート

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