みなさん、こんにちは。
司法書士・行政書士の松崎充知生(まつさき)です。
本日、日経新聞で以下の記事を目にしました。

成年後見制度の見直しする為、今後、法務大臣が法制審議会に諮問していくとのこと。
2年前にも新聞で成年後見制度の改正について取り上げていたのを見たことがありましたが、ここでようやく動き出したようです。
成年後見制度は、認知症,知的障害,精神障害などにより判断能力が十分でない人の為に裁判所が選定した後見人がその者に代わって法律上の保護や支援をしていくものです。
成年後見制度について、お客様からの相談でもよく出てきます。過去に記事を書いておりますが、特に認知症の父母が施設に入所するので父母所有の不動産を売却して施設費用に充てたいといった相談が多く寄せられています。
後見人が方の不動産方の不動産売却に関する記事は以下の通りです。↓↓
しかし、後見人が一度選定されると不動産の売却後もその後に後見人を外すことができません。後見人候補者として親族以外にも司法書士、弁護士、社会福祉士が選定されることがあり、その場合には月2万~4万円の報酬費用が発生するということもあります。
こういった理由から後見制度に関心を持ちながらも申立てまで進まずに敬遠されていました。
認知症=不動産売却ができないわけではありませんが、進行具合も人によって様々ですので認知症が疑われる場合、まずは司法書士が不動産所有者様のいる施設まで面談をするために出向きます。
そこで氏名、生年月日、同席者の関係性、所有不動産の確認、当時の購入経緯、売買代金、売買の相手方、ご売却の意思確認等を行います。不動産所有者様との面談方法は司法書士によって異なりますが、私は同席者等の了承を得てこのやり取りをビデオ撮影しておきます。
そこで受け答えがはっきりされている場合はご売却へ進める旨を告知しますが、ご売却の意思がはっきりしない場合は一旦ご売却を止めて成年後見制度の利用を促します。判断が難しい場合は医師に診断書を発行してもらうこともあります。
ご親族や不動産会社の方にとっては成年後見制度を利用せずに不動産売却ができた方が時間もお金もかからずに済む為、ご売却を止めることは司法書士としても心苦しいところです。
ただ、不動産所有者様のご売却意思がはっきりしていないのに売買契約を進めてしまうと後々トラブルになります。
認知症が回復された本人、施設面談に同席しなかったご親族、債権者、後に成年後見人となった司法書士、弁護士等が当時の不動産売買契約の無効を主張してくることがあります。
こういった出来事は不動産売買契約を締結して数年経った後に起きることが多いです。
今回の改正では、2026年度までに成年後見制度の一時利用、成年後見の範囲の特定、後見人の交代等ができるようにすることで成年後見制度の利用を高めていくというものです。
成年後見制度の一時利用が可能となれば、本人を支える親族にとっても今後の費用について見通しが立ち、利用率も高まるのではないでしょうか。
誰の為の制度なのかを改めて振り返り、柔軟のある利用しやすい制度になって欲しいものです。
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